講師の言葉
　2007年頃、私の感話をお聞きくださった羽田信生先生が、私をあわれみましましてか、手を取って、「赤宗さん、『大無量寿経』を読みなさい。」とおすすめくださいました。以来、細々とした、また遅々とした歩みでありますが、『大無量寿経』に学んでいます。
　今回の講題は「『大無量寿経』に聞く―本願―」です。これは、私を仏法のご縁に導いてくださった関真和先生の、光明誌連載稿のタイトル「大無量寿経聞記」によっています。
　テーマは副題にあげています「本願」です。親鸞聖人は、如来の本願を説くのが『大経』の中心テーマであり、名号が『大経』の体（具体）であると言われています。今回は『大経』の中心テーマである「本願」について、いわゆる講義をしようと意図するものではありません。またもとよりその力もありません。ただ、私自身が改めて「本願」についていただき直すご縁になればと思って、このテーマをあげました。
　少しだけ思い出話を語らせていただくならば、関真和先生は、私が中学一年のとき、卒業生に呼びかけて仏教の会を始められました。あるときは平木正則先生がお話くださいました。お話が終わって、「何か質問はありませんか。はい、君」と指されましたので、私は「本願とは何ですか。」と問いました。そして、あれから六十年、同じ問いを問うているのです。平木先生から「まだ問うているのか」と歎かれるか、「よく問い続けているな」と褒められるか、ともかく、今回は「本願」に学びたいと思います。