『讚嘆の詩』住岡夜晃

今なお多くの人の心をつかみ、人生の燈火となっている生命の讃歌を厳選収録

青年よ。強くなれ。
牛のごとく、象のごとく、強くなれ。真に強いとは、一道を生きぬくことである。
性格の弱さ悲しむなかれ。性格の強さ必ずしも誇るに足らず。
「念願は人格を決定す。継続は力なり。」
真の強さは正しい念願を貫くにある。怒って腕力をふるうがごときは弱者の至れるものである。
悪友の誘惑によって堕落するがごときは弱者の標本である。
青年よ強くなれ。大きくなれ。

深くなれ深くなれ
もっともっと深くなれ
何という浅い笑い方 何という浅い泣き方であることよ
浅薄な思想 浅薄な感激 浅薄な人生観
大波に漂う小船のように流されて
その日その日がいつしかに過ぎてゆく
無限の暗がその現前脚下に横たわる
何ゆえに大胆にその暗に徹せざる
無限の光が 彼の岸より現実を照らす
何ゆえにその光に徹せざる
無限の光 汝の底なき暗を照らすに覚める時
汝は智慧の所有者として深い人生を生きるであろう

幸福必ずしも人生の勝利ではない
しかし真の勝利者は幸福の人である
火事があったら亡んでしまう程度の幸福がある
老人になったら亡んでしまう程度の幸福がある
貧しくなったら消えてしまう程度の幸福がある
病気になったら消えてしまう程度の幸福がある
今の立場から去ったら無くなってしまう程度の幸福がある
死が来たら何もなくなる程度の幸福がある
われわれは深く考えてみたい

「一日の行事尊重すべし 一期の行歩尊重すべし」
凡夫は時の移るままに 今日一日 今日一日を無自覚に過ごし
そして一生を無意味に終わる
しかし、無意味にしたことも やがては それが大きな意味をもって迫り 
苦悩の大因となる
我を反省すれば だれでも思い半ばに過ぎるものがあろう
他日泣かねばならぬ種は大概そこから発している
とにかくにも 今日一日だけ、石橋をたたいて渡る気
水さえ噛んでのむ気 足もとに気をつけて歩ませていただく
大法を憶念しつつ わが心の相 口の言うところ 手のするところ
今日一日気をつけて生きさせていただこう
一生を台なしにするような大失敗も
一生を輝きあらしめるような出発も
或日の今日なされるのである

生きること暗しと泣く君に あえて問う
人類の文化の歴史幾千年
その過去より現在に至る
生きとし生ける爛漫たる人格の光輝
その一人でもが
君の生活に必然の関係ありや
これを無視しては君の生活を考うること能わざる人格ありや
かかる絶対人格の存在なしというか
ああ 止んぬるかな
人生これ以上の堕落を見ざるなり
人生への新しき一歩をやり直さぬ限り 道開かるることなし

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上下2巻セット
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上巻169頁
下巻187頁
2003年発行
樹心社

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