-
住岡夜晃
限りなく外に求めて
愚痴に泣いて世間を責むる前に 汝を見よ明日のことを思い煩う前に 汝を充実せよ限りなく外に求めて 不平と愚痴を増長するより無援孤立を悲観して 自暴自棄に陥るより空虚なる自己を偽装して 浅薄なる繁栄を求むるより如実に 真剣に 明確に 正直に その本心に帰り合掌して 真に教えを聞き 道を求めよ如来金剛の真心 内に汝に直入… -
真宗の教え
金色
山も村も紫に黄昏(たそが)れて 金盆 西の山の端(は)に赤し金色(こんじき)の雲 色うすれゆく時 明星次第に輝く悠揚(ゆうよう)なるかな 荘厳(そうごん)なるかな地上の生の終焉(しゅうえん)は永遠の生への出発である噫(ああ) 君在りし日の黙々の精進 水火二河(すいかにが)の間を貫かれた一道の行歩(ぎょうほ)その時 たれかこの静かなる… -
真宗の教え
汝の胸底
道を求めることなき人の一生はそのままが死んでいる雪も 雨も 坂も 海も さらに火も越えて道を求めるもののみ永遠不死の大道は開かれる一度求めても得られぬ二度 三度突進しても解決がつかぬされど 汝の胸底には何物かの力が頭をもたげてじっとしていることをゆるさぬではないか無上正真の一道進めよ進めよ 二度破れても三度出でよ三… -
真宗の教え
あえて叱咤す
若人よくれぐれも君に同情するだがわたくしは 君の周囲が悲惨であり 淋しく孤独であることに同情するよりももっと、君が温室の花のごとく 今日まで弱々しく育ってきた君の過去の幸福に同情する若人よその逆境を喜べ枯れる葉は枯らせよ 落ちる花は落とせしこうして今一度霜雪と戦って 芽を出し枝をのばし 花を咲かせよ汝の真価は ただ… -
真宗の教え
汝に還れ
汝 汝に還れ汝 汝に還る時 汝 汝を超越せん 我らは教育者であるより先に人間であった司法官 軍人 政治家 奥様 博士 小使等々であるより先に人間であった人間が人間に還る道 それが釈尊の宗教であった人間が歩かないで高等官が歩き人間が生きないで小使が生きる人間が笑わないで肩書が笑い人間が泣かないで肩書が泣くこれ人間の堕落… -
真宗の教え
深くなれ
深くなれ深くなれもっともっと深くなれ何という浅い笑い方 何という浅い泣き方であることよ浅薄(せんぱく)な思想 浅薄な感激 浅薄な人生観大波に漂(ただよ)う小船のように流されてその日その日がいつしかに過ぎてゆく無限の暗(やみ)がその現前脚下に横たわる何ゆえに大胆にその暗に徹せざる無限の光が 彼(か)の岸より現実を照らす何ゆえ… -
真宗の教え
「超日月光(ちょうにちがっこう)」
私が生きていることは、真実なるものに遠い相においてであるか、あるいは真実なるものに近く相応する相においてなされてあるか。そうしたことを少しも考えないで生きていられること、それはまことに恐ろしく悲しいことである。 それは私が今どこにいるかということを考えないで歩いているようなものだからである。 私の生きている位置?… -
真宗の教え
「心の底の青石」
まだ、私が二十代の頃でした。法を聞いても最初の頃ほどの感激もなく、よろこんでいる人を見ると邪魔になり本心でもないのに表面だけではないかと冷たい眼で仏法を聞く人までも信じられなくなって来て、これではいけないと、思い切っておたずねしようと思い先生の部屋に伺いました。「私は近頃聞法しても全くひびかず、蛙の顔に水のように何… -
住岡夜晃
「教育」
人は全て金持ちになれば幸福を感謝し、食にも困るほど貧しければ、その不幸を呪うものである。幸福に出会って感謝し、不幸に遭遇して悲しむ人の子には、そこに種々なる教育がある。感謝せよという教えがある。富めば富んで感謝し、貧しければ貧しくて感謝する。病気を感謝し、衣食に感謝し、子に死別されて感謝し、火事にあって感謝する。生… -
住岡夜晃
「永遠の戦場」
ワシントン会議が開かれて、軍備縮小が実行されて、日本や米国や英国の海軍力を制限し、巨万の富をかけて軍艦が打ち沈められ、軍艦建造が自由にできなくなってきました。行く行くは世界から戦争という二文字をなくする考えでありましょう。しかれば、果たしてこの地上から、血なまぐさい戦争がなくなるでしょうか。まことに戦争をなくしたい… -
住岡夜晃
「十八願のこころ」
生まれた者の中に生まれたことのないものが生き、死ぬる者の中に死ぬることのない者がささやく。生まれた者が生まれた者であることに徹し、死ぬる者が死ぬる者になりきる時、生まれもせず死にもしないものが、我になりきり給うことがわかる。 諸行無常になりきることが、そのまま常住なるものに生きることである。十八願のこころである。 現… -
如来本願の真意
「如来本願の真意」4
第一講 本願文 ②十方衆生 十方衆生 「設い我仏を得たらんに………」と誓い給いし法蔵菩薩は、直ちに「十方衆生!」と一切衆生を招喚していられる。四十八願ことごとくが、聖なる如来願心の表現ではある。しかし、第十七願までにおいては、第一の無三悪趣の願をはじめとして、六神通の願、さらに第十一願必至滅度の願、十二・十三の光明無量、… -
如来本願の真意
「如来本願の真意」3
第一講 本願文 ①設我得仏 願の内的風光 かくて、成仏の願は現実人生を離れては意味を持たないし、人生を超絶せる涅槃に根拠がなくては不可能である。法蔵菩薩は師仏世自在王如来にむかって、 「いいしかり、世尊、我無上正覚の心を発せり。願わくは仏、我が為に広く経法をのべたまえ。我まさに修行して、仏国の清浄荘厳無量の妙土を摂取す… -
如来本願の真意
「如来本願の真意」2
第一講 本願文 ①設我得仏 成仏の願 「設我得仏」…設(たと)い我仏を得たらんに。この願文最初の一句は、法蔵菩薩の成仏の願心を全的に表されたものである。仏教の教うるところによれば、菩薩とは真如界より生まれたるもののことである。或いは正しく真如界に向かって生きるもののことである。 この真如界より来たれるもの、真如界に向かっ… -
如来本願の真意
「如来本願の真意」1
序 不惑 私はいつしかに四十歳になった。如来の大悲本願に催されて、細々と白道の歩みを続けること十有六年。古来四十歳をもって「不惑」と言う。孔子は「四十にして惑わず」と言ったが、惑わざるどころかいよいよ名利愛欲の広海(こうかい)に大山(だいせん)に迷惑沈没(めいわくちんもつ)、造悪無碍(ぞうあくむげ)、散乱放逸(さんらんほういつ… -
住岡夜晃
「愛別離苦」住岡夜晃
独生、ひとり生まれて来たわれわれは、独死、ひとり死んでゆかなくてはならない。その間にいかに多くの人に出会って愛し睦み親しみあっても、皆別れて行かなくてはならない。人生の悲劇のほとんどが愛別離苦によって生まれる。人は人に会う。そこに不思議な因縁を感ずる。「袖の振り合い他生の縁」、友人、隣人、親族、兄弟、親子、夫婦、師… -
住岡夜晃
「光明」住岡夜晃
人は光明がなくては生きられぬ。であるから、人は何かに光明を認めて生きているのである。光とは何であるのか。君が光と言うのは何であるのか。その答え一つが君の価値を決定するであろう。 貧しい者には、金こそ光である。何とか生きて行けるものにとっては、名利の満足こそ光である。病む者にとっては全快こそ光である。そして君にあっては…